はじめに
紙に近い読み心地、書き心地のデジタルペーパー。
電子ペーパーというと電子書籍リーダーであるAmazonのKIndleが有名ですが、読むだけではなく、書き込みができるタイプも存在します。
SONY製のDPT-RP1/CP1、富士通製のクアデルノ、シャープ製のWG-S50、Onyx Boox Noteあたりが有名でしょうか。
コロナ対策として多くの企業でテレワークに対する取り組みが加速してきている中、最近再び注目されてきているのがデジタルペーパーです。
今日はFUJITSU製の「クアデルノ(QUADERNO)」とiPadを比較しながら、カタログスペック上はわかりにくい点について説明していこうと思います。
過去記事
クアデルノ
クアデルノは2018年末年に発売されたFUJITSU製のデジタルペーパーです。
「QUADERNO(クアデルノ)」は、イタリア語で「ノート」の意味で、「QUANTITY(量)」と「QUALITY(質)」のあるアイデアが、 どんどんと「出る」「ノート」という想いも込められているようです。
自然な書き心地を実現。ペン先に適度な摩擦感があり、ペンの動きと描く線のずれも少ないため、まるで本物の紙に書いているような感覚で手書きができます。
手書きができるE-Ink端末で「FMV-DPP01(A4サイズ)」と「FMV-DPP02(A5サイズ)」の2タイプがラインナップされています。
いずれのサイズも非常に軽く(A4が約350g、A5が約250g)、自由に持ち運びが可能です。
iPadなどの各種タブレットと比較して非常に軽くて電池の持ちが良いです。
クアデルノにはオリジナルのスタイラスペンがついてきます。
ペン先の書き味ははボールペン風と鉛筆風の2種類があり、書き込みをする際は適度な摩擦感を感じるため書き心地はかなり良いです。
ページめくりなどのレスポンスはiPadなどのタブレット端末のノートアプリよりは遅めですがKindle端末よりは早いです。
ペンはどんな感じ?
クアデルノにはデフォルトで専用のスタイラスペンが付属しています。
ペンの頭にはストラップホールがあるのですが、ここにストラップをつける人はあまりいないような気がします。
別売では替え芯3つ込みで税込9,760円なので、ApplePencilの税込11,880円〜よりは少しだけ安いです。
書き心地はかなり良く、Applepencil+書き味向上フィルムと同程度だと思ってください。
ただ、レスポンスに関してはApplepencilの方が上です。
書き始めコンマ数秒は記入を受け付けない時間があり、少し戸惑う場面もあります。
iPad Proのように本体の横にマグネットでくっつきますが充電機能はありません。
スタイラスペンに定期的に充電をする必要があります。充電端子がmicro usbなのがまた微妙だったりします。。。
ペン先にある2つのボタンは消しゴムとマーカーの役割を持っています。
ApplePencil(第2世代)はペン先をタップすると消しゴムとペンが切り替わりますが、物理的なボタンがある方が使いやすいと感じました。
マーカーには青と赤を設定できます(黒は選択できません)が、クアデルノ本体は白黒表示なので、デジタルノート上では色は判別できません。
作成されたノートはどんな感じ?
作成したノートはPDF形式として即座に保存されます。
一定時間内に記入された文章が一つのオブジェクトとして認識されるようで、パソコンでPDFを開くと文章ひとかたまりごとを選択・編集することができます。
オブジェクト数が多いとPDFのページ送りがかなり遅くなるので注意してください。
パソコンでの閲覧には多くのメモリを消費することになりそうです。
iPadの各種ノートアプリもPDF出力した際は同じような現象が起きるのでこの点はひきわけかもしれません。
電子書籍リーダーとしてつかえる?
多くの方が一度は検討する電子書籍リーダーとしての運用に関してですが、私の意見としては「使えなくはない」という回答になります。
そもそもクアデルノはPDFにしか対応していません。
mobiやepub、zipやrarなどの形式の書籍は読み込むことすらできないのです。
Kindleや楽天といった電子書籍ストアにもアクセスできませんし、クアデルノでPDFファイルを読むためには、入手した書籍ファイルをクアデルノ本体に移動させるという手間も発生します。
もし電子書籍リーダーとして利用するのであれば、PDFファイル(例えば論文など)をパソコンのフォルダに放り込んでおき、自動同期機能でクアデルノ本体に転送されたPDFを読むというやり方が一番良いと思います。
iPadはKindleや楽天Koboなど各種電子書籍リーダーをインストールすことができますので、電子書籍を読みたいという方であればiPadをおすすめします。
保証期間は?
デフォルトでは本体、ペンともに購入から1年間の保証が付いています。
いちどペン先が折れてしまい、付属のペン先を抜くツールでも取ることができなくなってしまいました。
購入から1年以内であれば無償で交換してもらえましたが、1年以上経過していると有償交換になるとのことです。
iPadとApplepencilの保証期間もデフォルト1年です。Applecare+をつければ2年間に延長も可能です。
初期設定は何をするの?
クアデルノ起動時にペンの持ち方と書かれた文字の位置の微調整を行います。
もし書き込んだ文字と表示される位置に違和感があれば後からでも修正が可能です。
手袋をつけたまま操作できる?
いえ、できません。
静電式タッチパネルなので素手で操作する必要があります。
各種スマホやiPadと同じですね。
同期機能はありますがバックアップ機能はありません
クアデルノにはパソコンのフォルダとクアデルノ本体のファイルを同期するという機能が搭載されています。
もしクアデルノを紛失、故障で利用できないような状態になっても、パソコン側にバックアップが残っているので安心です。
一方で、これはあくまで同期機能でバックアップ機能ではないので、クアデルノ本体、もしくはパソコン側でファイルを削除してしまうと、もう片方のデバイスからもファイルがなくなってしまいます。
この機能ではバックアップされないことに留意して利用するようにしてください。
あと、この同期機能はDigital Paper PC Appを起動していなければ実行されません。
バックグラウンドで実行されたらいいのになぁ。。。もういっそのことサービスとして登録してよ。。。
初期化は可能?
本体の設定から初期化を行うことができます。
初期化にはロック時のパスワードが必要となります。
もしパスワードを忘れてしまった場合はメーカーに送付して対応してもらうことになるので注意してください。
本体上にあるリセット(RESET)ボタンは本体がフリーズして動かなくなってしまった場合に再起動するためのボタンです。
工場出荷状態にリセットするボタンではないのでご注意を。
Sony製のデジタルペーパーとの違いは?
ちなみにSony製のデジタルペーパーDPT-RP1/DPT-CP1はクアデルノと兄弟機でスペックなどは全て同じです。
本当に同じなので気に入った方を利用していいと思います。
Sony製のデジタルペーパーならAmazonで購入できますしね!
さいごに
今日はクアデルノを約1年ほど利用してきて、気づいた点、気になった点を書いてみました。
カタログスペック上では分からないような情報も多いのではないかと思います。
とはいえ、本製品はデジタルノートとしては非常に優れており、紙のノートの代わりとなりうる機能を有した製品だと思います。
いくつか改善して欲しい点もありますが、それを補ってあまりある性能を持っているので、機会があれば是非利用してみてください。