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初心者から中級者の機械学習プログラム例の過学習:原因、検出、対策を徹底解説

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初心者から中級者の機械学習プログラム例の過学習:原因、検出、対策を徹底解説

機械学習の世界に足を踏み入れたばかりの方にとって、「過学習」という言葉は、しばしば不安や困惑の種となるでしょう。しかし、過学習は機械学習プロジェクトにおいて避けて通れない問題であり、理解し対処することで、より汎化性能の高いモデルを構築することができます。

本記事では、初心者から中級者の方々に向けて、過学習の原因、検出方法、そして具体的な対策について、分かりやすく解説します。具体例や参照先も交えながら、実践的な知識を身につけられるように構成しました。

1. 過学習とは何か?

まず、過学習(Overfitting)とは、モデルが訓練データに対しては非常に高い精度を示すものの、未知のデータ(テストデータなど)に対する予測性能が著しく低下する現象のことです。

言い換えると、モデルが訓練データを「丸暗記」してしまい、データに含まれるノイズや特異なパターンまで学習してしまうために、新しいデータに対して適切に一般化できなくなる状態を指します。

例えば、あなたが小学生の時の算数のテストで満点だったとしても、それはあなたが算数という科目の本質を理解しているからではなく、その特定のテストの問題を丸暗記してしまっただけかもしれません。同様に、過学習したモデルは、訓練データに対しては完璧に見えても、現実世界では役に立たない可能性があります。

2. 過学習の原因

過学習が発生する原因はいくつか考えられますが、主なものは以下の通りです。

  • 複雑すぎるモデル: モデルのパラメータ数が多すぎると、訓練データに存在するノイズや特異なパターンまで学習してしまいやすくなります。例えば、高次多項式回帰や深層ニューラルネットワークなど、表現力が高いモデルは過学習しやすい傾向があります。
  • 訓練データの少なさ: 訓練データが少ない場合、モデルは限られた情報からしか学習できないため、汎化性能が低下しやすくなります。
  • 特徴量の選択の誤り: 不要な特徴量やノイズを含む特徴量を取り込んでしまうと、モデルはそれらに過剰に適合してしまい、過学習を引き起こす可能性があります。
  • 訓練データの偏り: 訓練データが現実世界を代表していない場合、モデルは訓練データに最適化されてしまい、新しいデータに対して適切に予測できなくなることがあります。

3. 過学習の検出方法

過学習が発生しているかどうかを判断するためには、以下の指標を用いることが一般的です。

  • 訓練誤差とテスト誤差: モデルの訓練誤差(訓練データに対する予測精度)とテスト誤差(未知のデータに対する予測精度)を比較します。訓練誤差が非常に低い一方で、テスト誤差が高い場合、過学習の可能性が高いと言えます。
  • 交差検証 (Cross-Validation): データを複数のグループに分割し、そのうちの一部を訓練データ、残りをテストデータとしてモデルを評価する手法です。K分割交差検証と呼ばれる手法では、データをK個のグループに分割し、各グループを順番にテストデータとして使用します。これにより、データの偏りによる影響を軽減し、より信頼性の高い評価を得ることができます。
  • 学習曲線 (Learning Curve): 訓練データ数に対する訓練誤差とテスト誤差の関係をグラフで表示したものです。過学習の場合、訓練誤差は低いまま推移するのに対し、テスト誤差は増加していく傾向が見られます。

これらの指標を参考に、モデルが過学習を起こしているかどうかを判断し、必要に応じて対策を講じる必要があります。

4. 過学習への対策

過学習を防ぐためには、以下の様な対策が有効です。

  • モデルの簡素化:
    • 正則化 (Regularization): モデルの複雑さにペナルティを与えることで、過学習を抑制する手法です。L1正則化(LASSO回帰)やL2正則化(Ridge回帰)などがあります。
      • L1正則化: モデルのパラメータに絶対値のペナルティを加えます。これにより、不要な特徴量の係数を0にし、特徴量選択の効果も期待できます。
      • L2正則化: モデルのパラメータの二乗和にペナルティを加えます。これにより、パラメータの値が小さくなり、モデル全体の複雑さを抑えることができます。
    • 次元削減 (Dimensionality Reduction): 特徴量の数を減らすことで、モデルの複雑さを軽減し、過学習を防ぎます。主成分分析(PCA)や特徴量選択などが用いられます。
  • 訓練データの増加: より多くの訓練データを用意することで、モデルはより汎化性能の高い表現を学習できるようになります。
    • データ拡張 (Data Augmentation): 既存のデータを加工して新しいデータを生成する手法です。画像認識においては、画像の回転、反転、ズームなどの操作によってデータを増やすことができます。
  • 特徴量の選択: 不要な特徴量やノイズを含む特徴量を削除することで、モデルが過剰に適合する対象を減らし、過学習を防ぎます。
    • 特徴量重要度 (Feature Importance): モデルの予測において各特徴量がどれだけ重要であるかを評価し、重要度の低い特徴量を削除します。
  • 早期終了 (Early Stopping): 訓練中にテスト誤差が上昇してきた時点で学習を停止する手法です。これにより、過学習が発生する前に学習を打ち切ることができます。

5. 具体例:Pythonとscikit-learnを用いた過学習の検出と対策

ここでは、Pythonの機械学習ライブラリであるscikit-learnを用いて、過学習の検出と対策を行う簡単な例を紹介します。

import numpy as np
from sklearn.model_selection import train_test_split, cross_val_score
from sklearn.linear_model import LinearRegression, Ridge
from sklearn.preprocessing import StandardScaler

# データの生成 (訓練データとテストデータを意図的に偏らせる)
np.random.seed(0)
X = np.random.rand(100, 5)  # 5つの特徴量を持つ100個のサンプル
y = X[:, 0] + 2 * X[:, 1] - 3 * X[:, 2] + np.random.randn(100) * 0.1 # 線形関係にノイズを加える

# 訓練データとテストデータに分割
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

# 特徴量のスケーリング (重要: 線形モデルではスケーリングが有効)
scaler = StandardScaler()
X_train = scaler.fit_transform(X_train)
X_test = scaler.transform(X_test)

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